蝶々を追いかけて

キャリアに迷った心理士が考えたことを書き留めておくブログです。

統合に活路を見出すも

前回の諸富先生の本から刺激を受けて、やはり自分は一つの理論を極めるよりも折衷的に色々な技法が使えるようになるのが向いているのではないかと考えていました。

これって今流行りの(?)統合・折衷的アプローチというやつなのでは?
と思って本を買ってみました。

 

「おわりに」にほとんど自分のことが書いてありました。
ちょっと引用してみます。

(前略)専門資格を持った心理職は、その訓練課程で、主要な学派の心理療法についての基本的な知識は学んでいる。しかし、せっかく学んだそれらの知識も、バラバラなまま、頭の中で別々の引き出しにしまわれたままで、臨床実践においてはほとんど活用されていない場合が多いように思われる。

 こうした心理職が実施する心理療法の治療効果を引き上げるには、この上さらに新たに「〇〇療法」の学びを重ねるよりも、すでに学んできた多様な学派の心理療法の知識を効果的かつ、柔軟に活用できるようにするほうがずっと有効だと考えられる。

 

杉原保史(2021).おわりに――.心理療法統合ハンドブック.pp.242

もう本当に、そのとおりで、こういう信念に基づいているなら統合アプローチって私のためにあるんじゃないのくらいに思って、テンションが上がりました。

統合的なアプローチなら最近話題の(?)加速度力動療法とか感情焦点化療法とか、ちょっと勉強しみてもいいんじゃないの、と思ってこの本の該当のページをさらっと読んでみました。

 

これが、「すでに学んできた多様な学派の知識を柔軟に活用している」統合のアプローチなの…?
新しく学ばなくちゃいけないことけっこう多くない?
しかもけっこう複雑じゃない?

 

上で引用したように、今まで勉強したことを統合する考え方なら、ある程度色々な理論を知っている自分なら習得できるかなと思ったのですが、これは研修会に出てトレーニングが必要なのもわかるな。付け焼き刃では無理!

最近の新しいアプローチって回数とか、時間とか、プロトコルとか、やり方が細かくて実際の臨床場面では使いづらいように思ってしまいます。

病院で一枠30分のカウンセリングとか、長期休みで間隔が空きがちのスクールカウンセリングとか、そういう実際の現場でやりにくすぎて勉強する気がなくなってしまいます。
以前興味本位でアクセプタンスコミットメントセラピーの本を読んだときにも同じことを思いました。

上手い人はうまくアレンジして取り入れているんだと思いますし自分もそうでありたいと思うんですけど、アレンジ可能ならそんなに細かく決めておく必要なくない?と思ってまずはそれ通りやりたくなっちゃうんですよね。で、できないと無理だからいいやってなっちゃう。

その点伝統的だったりやっている人が多い理論は奥は深いけど、わりとシンプルですね。

今の私のコンセプトは手持ちの武器でどれだけできるか再確認することなので、手持ち武器に不足があると思ったときには新しい理論を学びに戻ってきましょう!

それまでは新しいものの勉強に手を出すのはやめておきます…。

カウンセリング技法の確認中

諸富祥彦先生の新しいカウンセリングの技法を読み直していました。

 

本当にわかりやすく、カウンセリングのプロセスと対応が丁寧に書いてあって素晴らしい本です。傾聴でなぜクライエントが良くなるかも書いてあります。
しかもわからないことはまだ勉強中って正直に書いてある! 見習いたい!

この本で面接のプロセスと自分がやっているカウンセリングのタイプをきちんと意識することの大事さを学びました。
この本の良いところは、様々な技法を折衷的に組み合わせているところです。
諸富先生自身はロジャーズ派ですが、ゲシュタルト療法や、プロセスワーク、認知行動療法(CBT)や解決志向アプローチ(SFA)の技法も取り入れてカウンセリングのどのタイミングで使うのがいいのかまで提示しています。

やっぱりロジャーズ派だけでも、CBTだけでもSFAだけでも十分とは言えないよな、クライエントのニーズや抱えている問題によって色々できる方がいいよなと改めて再確認したのでした。

続いて手に取ったのは、カウンセリングテクニックの本です。

これも持っていたんだけど使いこなせていなかった本です。

この本も様々な理論の様々な技法をまとめています。

「カウンセリングテクニックの「前提」」という章が読みごたえがあります。

カウンセリングの効果は技法やアプローチの違いよりも、カウンセラー効果という「人」要因が働いているというなかなか衝撃的な話も載っています。

特に臨床家としての自身の能力に疑念をいだく内省傾向が高いほどクライエントの退対人関係問題の解決度が高いという研究結果は…勇気が出ますね!!

でも「効果的なカウンセラーの特徴」がまとめてある表が載っているのですが、これはめまいがします。

関係作りができて、基本的なカウンセリングがちゃんとできて、困難から逃げないで向き合って、自分のこともよく理解していて勉強もし続ける、という、まとめてみれば基本的なことだとわかるんですけど、この表の圧はなんかすごいです(字が小さいから?)。


この本から、学んできたけどちゃんと理解していない技法を再確認したいと思います。


今は新しいことにはなるべく手を出さずに、知ってるはずなのにうまく使えていない知識を使えるものにすることに専念したいと思います!

 

心理臨床学会について考えたこと

心理臨床学会のオンライン大会に参加しています。

www.ajcp.info

といっても時間に融通が利きづらいので録画視聴できるものやポスターばかり見ていますが。

せっかく会期中ですので会員企画シンポジウム4を見た感想というか、連想したことを書いてみたいと思います。クローズドな学会なので内容については触れず、自分の考えたことだけを書くことにします。

 

私は心理臨床学会は雑多なのが良くて、この学会一つに入ればいろいろな分野の勉強ができるのがある意味コスパがいいなと思っているのです。

色々な考え方の人がいるのも多様性という意味では非常に良いのではないかと。

ですからそのいいところを生かして他学派の人、他分野の人と連携する、連携はできなくてもお互いに分かり合おうとするということに取り組みやすいのではないかと思います。

学派を超えた心理臨床の共通要素について議論したり、学派の色を薄くして心理学を用いた臨床(心理学的援助、心理学的実践)について体系立てていくのがあるべき姿なのでは、とシンポジウムを聞いて思いましたし、そうなればいいなと願っています。

 

私が行った大学院はいろいろな分野の先生がいたので、どの考え方にも染まらずに、クライエントの役に立てばなんでもいいというスタンスが培われました。だから心理士としてのアイデンティティが拡散しているわけですけども、どうしても単一の学派を信奉(というように見えます)している人の気持ちがわからないところがある。

そのかたくなさ、他の考え方を認めない排他性は、臨床家としてそれでいいの?と思ってしまいます。

公認心理師のカリキュラムや試験についてはいろいろ言われていますが、学派の色がなくなり、社会の要請に応えろ!と蹴り飛ばされたのはある意味良いことなのかもしれないなどと思いました。

もちろん、待遇や立場については言いたいことはたくさんありますけれども…。

シンポジウムを見なければこんなことは絶対考えなかったので、視聴できてよかったです。心理臨床学とは何かについて自分でも考え続けていきたいと思いました。

 

自信を回復させるために基本に立ち返る

コロナ禍と子育てのダブルパンチで満足に働けずに心理士としての自信までなくなってしまった私は、何とか自信を回復させたいと思い、試行錯誤しています。

 

私は教育分野や医療、福祉の分野で仕事をしてきたことが多かったので、そういった分野の関連資格を取ったらよいのではと思い、いろいろと調べましたが、これもなかなか難しい。受講するのが大変だったり、受験できる場所に制限があったり、お金がかかりまくったり…。

 

調べているうちにうんざりしてきました。

新しい技法を学んだり資格を取るのはもう懲り懲りだ!
まずはお金をなるべくかけずに、今までに勉強したことを丁寧に振り返ったら、自信も取り戻せるのではないか!?

そう思ってずいぶん前にさらっと読んだきり本棚に入りっぱなしだった「新しいカウンセリングの技法」という本を読み直すことにしました。

読み返してみたらめちゃくちゃわかりやすい!

 

この本ではカウンセリングのプロセスを、初期、中期、後期と3つに分け、それぞれの進め方の違いからカウンセリングを以下の6つにタイプ分けしています。

1.自分を見つめるカウンセリング

2.つらさをしのぐカウンセリング

3.現実を受け入れていくカウンセリング

4.目標達成志向のカウンセリング

5.つなぐカウンセリング

6.コンサルテーション

 

どのような技法をどのタイミングで使うかといった、非常に具体的なことも書いてあるので、とても分かりやすいです!

例えば、目標達成志向のカウンセリングの後期では解決志向アプローチや認知行動療法的なアプローチを使うというような具合です。

もっと早く読めばよかった…。

 

読み直してみて思ったのは、書かれていることについて「そうだ、そうだ」とうなづけるということは、カウンセリングが全くできていないというわけではない、ということで、そんなに自信を無くさなくてもよいのでは、ということでした。

 

この調子でもう少し自分が学んできたはずなのに、うまく整理されていない知識を再確認していきたいと思います。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定の勉強をしてみて

数日前までカウンセラーとしての自尊心をわかりやすい資格を取ることで回復させようとしていました。

メンタルヘルス・マネジメント検定という産業分野のメンタルヘルスの知識を問う資格です。

 

 

数日勉強して思ったのは、これはやっぱり自分が取るべき資格ではないということ。

もともと対象として企業の人事の人とか、経営者とかを想定している資格なので当たり前といえば当たり前なのですが、企業に勤めたことのない私にはイメージできないことが多すぎる!

だからこそ勉強して自信をつけようと思ったのですが、産業分野に就職する予定もないので、努力の方向が見当違いであることに問題集を買ってから気が付くという…

 

それでも自分には全くない視点で面白いと感じることは多々ありました。

例えば、「メンタルヘルス不調」という専門用語があり、その中の緊急事態への対応として解離性遁走がクローズアップされているとか。

心理士としての勉強では解離性障害の全体像をとらえてからその中の一部としての解離性遁走という学び方をしますが、企業の中では労働者に起こりやすいものから学んでいくんだな、と。

パワハラの行為類型はほぼいじめの定義と一緒だけどその人が持っている能力や経験に見合わない過小な要求しかされないことや、私的なことに過度に立ち入ることもパワハラになるということとか。

事例問題も心理士としてのアプローチとは微妙に異なるので面白かったです。

 

問題集を見ていて自分が知っている分野の問題はとても簡単でしたので、全体をきちんと勉強すればそんなに難しくない(論述以外は)と思います。

ちなみに最高に面白かったのは、不適切なものを選ぶという問題で、

アスペルガー症候群は近年、注意欠陥多動性障害と呼称されている。」(第23回出題)

という分に出くわしたときでした。不適切にもほどがある!

 

ざっくり全体を眺めた感想としては、本来は労働者(正職員)はとっても守られているんだな、ということでした。

せっかく色々サポートを受けられる体制があったとしても、知らないと使えないので、この分野の勉強しておくことは無駄じゃないと思うけど、いかんせん、論述問題の対策が大変すぎます。

問題を見た限りかなり難しい。

例えば

メンタルヘルス対策において、キャリア発達支援プログラムを開発するための注意事項について、400字以内で記述しなさい」(第27回出題)

といった、結構専門的な問題が4問くらい出るのです。これは付け焼刃の勉強では無理だと悟りました。

ですので、これで自尊心を回復させるのはやめて、別のことをしようと思います(切り替えが早すぎる)。

勉強してみてわかりやすかったのはこの本でした。

 

ではどうしたら自尊心が回復するのか…もう少し考えてみます。

 

資格あれこれ

臨床心理士公認心理師の他にどんな資格をゲットすれば自己効力感を取り戻せるのかを探るべく、ネットの海を彷徨った…。

たくさんの似たような資格が発見されるがしかし、自由になる時間と予算が限られているため次々と却下される…。

役に立つかよりもいかに勉強しやすいかを基準に探したところ、その中で目に止まったのが、ストレスマネジメント検定!

誰でも受験できる!
テキストが市販されている!
(一応)これまで得た知識を活かせそう!

ストレスマネジメント検定は1種、2種、3種とあるのですが本屋でテキストを見たところ、1種でも行けるんじゃないかと踏んでとりあえず問題集を買ってみました。
1種の試験がちょうど11月にあるのもちょうど良いのではないかと。
あまりにも難しかったら2種にします。
合格して自己効力感を取り戻すことが目的なので!

産業系は全くの専門外ですが、大人の心理臨床をやる上で知識はないに越したことはないのでトライしてみることにしました。
非常勤を渡り歩き、企業で働いた経験がないため、その辺の知識が全くないのもどうなのかと思っていたところでした。

問題集を少しやってみたのですが、知らないことばかり…。
何故かクローズアップされる解離性遁走…
問題を見てたらちょっと面白くなってきたので、今後は心理士から見たストレスマネジメント検定の問題について勉強がてら書いていこうと思います。

子育て中の心理士が自分のキャリアについて考える

私は今、未就園児の子育て中で諸々の事情もあり、思うように働けない状態です。

せめてこの時期に勉強しようと思い、興味のある分野の本を読むのですが、なんだか知識が身になった気がしない。水をザルですくっているようです。
仕事と直接結びついてないからなんだか実感が湧きづらいのです。

勉強が身につかない上に仕事もしていなくて、なんだか自分が心理士としてものすごく残念なことになっている気持ちに苛まれてきました。

とにかくこの下がりきった自己効力感をなんとかしなければ!
勉強したことを何らかの形にしたい!
そうだ、資格だ!
今後のキャリアにつながる資格を取ろう!

カウンセラーの資格として私は臨床心理士公認心理師を持っています。
これにプラスする形で役に立つ資格を取りたいと思って調べてみたのですが…。

高い! 大変!! とんでもない!!!

色々な心理系の学会や団体がそれぞれいろんな資格を出しています。
心理士は研修にお金がかかるのが当たり前で、感覚が麻痺してる方だとと思ってましたけど、でも、子育て中の主婦が気軽に出せる金額じゃない!
しかも何十時間も研修を受けないといけないとか、そんな時間なんかないよ!

子育て中の主婦にはハードルが高すぎるものばかりでした…。

そこで目的を絞ることにしました。
この際キャリアアップはあきらめて、ハードルが低くて、かつ自己効力感を取り戻せる資格を取ろうと。

次回に続きます!