蝶々を追いかけて

キャリアに迷った心理士が考えたことを書き留めておくブログです。

ブリーフセラピー勉強中

ブリーフセラピーを勉強しています。

まずは昔読んだ本を再読。

大学院を出た頃に読んで、結構影響を受けました。

今回再読して思ったのは、解決志向ブリーフセラピー(SFA)はセラピー初期の関係づくり、特にセラピストとクライエントの関係性の査定をするという点においてものすごく有用だということ。

この視点はほかの心理療法にはあまりないですよね。

しかし、同時に私にはどうやってもブリーフセラピストになるのは無理だということも再認識しました。

どうしても、介入のあたりが職人芸過ぎてまねできない、本当にその介入でいいのか?とか、思ってしまうのです。

そんな中でもう一冊読んだ本が非常に有用でした。

 

様々な分野の、いろいろな立場の方が1章ずつ書かれている本なのですが、その中の「第10章 児童相談所の現場から」という章が私の思っていたブリーフセラピーの違和感をうまく言葉にされていて、感動してしまいました。

ここでは、あえてあまりうまくいかなかった、短期では終わらなかった事例を挙げて、何が起きていたのかを分析しています。

その中で「解決志向」ではなく「解決強制」療法になってしまう場合について書かれています。

SFAでは「例外探し」が主要な技法ですが、「クライエントにとって重要でない例外をめぐって議論を戦わせること」は「解決強制」になると書かれています。

 

クライエント自身が例外を探せるような状況になっていなければ、セラピストがいくらそれを求めても苦痛になるばかりです。クライエントの関心が常に変化に向いていることはありません。

「第10章 児童相談所の現場から」より

クライエントさんのニーズがはっきりしているとき、未来についてのイメージが具体化できるときにはとても良いセラピーなのだと思いますが、その前の段階でしり込みしたくなったり、まだその気になれないクライエントさんにはもう少しゆっくりやっていく必要があるのでしょうね。

またグッドリーズンを考える、という個所もとてもよかったです。

グッド・リーズン(good reason)という言葉があります。これは、「もっともな理由」と訳すことができるでしょう。そうせざるをえなかった、またはそうならざるをえなかった「もっともな理由」がクライエントにはあると考えることです。

これは本当にその通りで、常に忘れないようにしたいと思う言葉です。

このことを肝に銘じておけば、クライエントを責めたり、カウンセリングがうまくいかないことをクライエントのせいにするなどという大変残念なことは起こらないと思うのですよね。

 

SFAの本を読むとSFAは万能、誰にでも簡単に使える、みたいな印象が強かったのですが、この章はSFAの限界とか注意点について書いてあって、安心感がありました。

 

また以前に買ったこの本もざっと再読。

この本の「他力本願のジュンコ」という章が、SFAの何が良かったのかを終結後にクライエントと振り返っていて面白かったです。

こういうことが柔軟にできる自由さは見習いたいと思います。

 

SFAを学びなおして思うのは、私にとってSFAは関係作りとかクライエント理解の部分を身に着けるぐらいがちょうどよいのではないかということでした。

介入(行動課題を出す)をするというのは、すぐに身に着けるのは難しい…という印象です。この部分はCBTも学びなおして自分の中で検討したいと思います。